画用紙の特徴と使い心地 第4回:ウォーターフォード & ホワイトワトソン

2025.09.02
ウォーターフォード

今回ご紹介するのは、イギリス製の伝統ある紙「ウォーターフォード」と、日本製で初心者にも扱いやすい「ホワイトワトソン」。
それぞれ性格が異なり、絵の具との付き合い方も変わってきます。

ウォーターフォード(ホルベイン/イギリス)

人気のある水彩紙のひとつで、好みは分かれるものの、生徒さんの中でも「やっぱり分かる」と評判の紙です。

発色は非常に美しく、乾燥後もしっかりと色が残るため、にじみやぼかしといった「流動性」を抑えた表現に向いています。
一方で、乾燥が早く、色の定着が良いため、リフティング(色を拭き取る)や修正にはやや不向きです。

ただし、乾かす時間を調整したり、下の色が動かない特性を活かせば、グレージング(重ね塗り)などの技法には最適。
どうしてもリフティングが必要な場面では、ドライヤーを併用して素早く定着させるなどの工夫が求められます。

何度も重ね塗りをしても発色がにごりにくく、マットで落ち着いた質感で着彩できます。
色味に深みが出やすく、計画的に絵を仕上げていきたい人にはとても相性の良いスケッチブックです。
乾きも早いため、テンポ良く描きたいときにも適しています。

ウォーターフォード水彩紙 公式サイト(外部サイト)

https://holbein-shop.com/?mode=grp&gid=1798197

ホワイトワトソン(ミューズ/日本)

発色が美しく、修正もしやすいため、初心者でも楽しめるスケッチブックです。

絵の具を何度か重ねていくと、発色が浅く感じられる部分もありますが、その分、紙が絵の具を受け止めきれずに滲んだりすることも少なく、落ち着いた仕上がりになります。

注意点としては、重ね塗りの際に下の色が動く傾向があるため、色を混ぜながら仕上げるよりも、パレット上でしっかり色を作ってから着彩する方が向いています。

にじみやぼかしの表現も比較的しやすく、丁寧に描いていけば美しい仕上がりに。
全体的に好き嫌いが出にくい、扱いやすいスケッチブックのひとつです。

ホワイトワトソン 公式サイト(外部サイト)

https://www.muse-paper.co.jp/product/white_watson.php

次回は「ファブリアーノ」と「ランプライト」を紹介します。

画家 田嶋香里

画家 田嶋香里

現在は京都府宇治市にて制作、講師活動を行う。
京都造形芸術大学卒業、絵画造形教室講師30年以上、保母資格取得、幼児教育講師の経験後、幼少絵画教室を開室現在は幼少からお年寄り、美大受験生、障害のある子供達と幅広く指導、幼稚園講師研修会の講演
制作者としての活動は個展、グループ展多数開催

近年の活動

2018年
寺山修司画集 「時をめぐる幻想」(出版社:東京出版)「猫時計」の挿絵を行う
2019年
大丸梅田にて絵画展示販売
京阪百貨店にて展示発表
よみうりカルチャー講師
NHK文化センター講師
2020年
大丸梅田にて絵画展示販売
近鉄文化サロン講師(あべのハルカス・ならファミリー)
三越星ヶ丘店にて絵画展示販売
名古屋三越栄本店にて絵画展示販売
静岡伊勢丹にて絵画展示販売
北海道丸井今井札幌本店にて絵画展示販売
東京立川伊勢丹にて絵画展示販売
2021年
自身のアトリエ店舗をOPEN
2022年
KADOKAWA「オーバーロードⅣ」公認アーティストとしてメイキング動画、作品制作

近年の画歴

関西二紀 佳作賞,春季二紀展 新人選抜奨励賞,京展入選(3回),京都二紀 奨励賞(2回受賞),関西二紀 奨励賞(2回受賞),関西二紀 褒賞(2回受賞),関西二紀 関西二紀賞,二紀展 奨励賞,現創美術協会 奨励賞