猫を描く

2025.02.07

今回は、猫を描くことについてお話しします。

私は猫を通して、人間社会を描いています。猫ばかりを描いているわけではなく、人物画や風景画、静物画などさまざまな作品をオーダーいただきながら制作していますが、自分の作品として発表するのは、やはり猫の世界観を描いたものが多いです。その中には人間がいたり、車が走っていたり、素敵な風景が広がっていたりと、猫のいる世界を大きな作品として仕上げています。

猫はとても魅力的なモチーフの一つです。特に、猫の絵をオーダーされる方や体験レッスンに来られる方は、猫への深い愛情を持っておられ、その思いが作品や言葉に表れます。

体験レッスンでは、まずシルエットを描くことからお伝えします。その後、顔のパーツの位置や手足の長さ、太さなどのアタリをつけます。私の場合、全体像のアタリをとった後、なぜかいつも鼻から描き始めます。そこから目の距離や方向を確認しながら、少しずつ描き進めていきます。また、猫の模様があると、より距離感や表情をとらえやすくなるため、その点も意識して伝えています。

白い猫や黒い猫を描くときは、着彩が少し難しく感じるかもしれません。しかし、光や影の関係を説明すると、「白い部分がすべて真っ白なわけではなく、黒い猫も光の当たり方によっては真っ黒ではない」ことが理解しやすくなります。さらに、ピンクや水色、黄色などの色をほんの少し毛並みに入れることで、より自然な質感が生まれることをお伝えすると、「先生にはそんな色が見えても、私には見えません」とよく言われます。そのときには、「そうですよね」と答えつつ、「描き続けていくうちに、ふと色が見えてくる瞬間がありますよ」とお話ししています。(これは猫だけでなく、風景画や人物画、静物画にも共通することです。)

また、画材によって猫の表現も変わります。

  • 水彩 …毛並みをくっきり描くのではなく、にじませることで柔らかさを表現します。
  • 色鉛筆 …できるだけ先を尖らせて、毛並みの複雑な動きや色を細かく描きます。
  • アクリル絵の具 …私の猫の世界観を最も表現しやすい画材です。さまざまな色を入れながら、毛並みを丁寧に描き込みます。
  • 特に目の表現は重要です。猫の目をよく観察すると、さまざまな色が映り込んでいるのがわかります。目は球体なので、どこが一番暗く、どこに光が当たっているかを意識すると、ビー玉のような美しい輝きを表現できます。目がしっかり描けると、猫の絵が一気に生き生きとしてくるので、とても楽しいポイントです。

    仕上げの段階では、そのままリアルな猫を描くのか、それとも絵の中でしかできない物語を描くのかを決めます。例えば、家猫なら、絵の中では草原でピクニックをしているようなシーンを描くこともできます。

    猫を描く生徒さんは、本当に猫が大好きな方ばかりです。どの画材を使っても、どの表現方法でも、作品には何とも言えない温かさやユニークさ、そして深い愛情が感じられます。私自身、自分の描く猫も好きですが、生徒さんたちが描く猫を見るたびに、心がとても癒されるのを感じています。

    田嶋香里