今回は、水彩画に欠かせない「紙」についてお話しします。
水彩画は、私にとって最も難しい画材の一つですが、同時に最も心を癒してくれる存在でもあります。生徒さんにも、「難しいけれど、その分、心が和らぐ画材ですよ」とよくお話ししています。
「水彩」という言葉のとおり、水の使い方がとても重要ですが、もう一つ大切なのが「紙」です。水彩紙にはさまざまな種類があり、画家によって好みが異なります。また、描くモチーフによっても適した紙が変わると感じています。
私が普段使っているのは、「アルッシュ」「ワトソン」「ウォーターフォード」「ランプライト」の4種類。それぞれ特徴があり、用途によって使い分けています。
この中で最も高級とされる紙です。発色が美しく、水をやわらかく吸い込みます。また、ある程度の修正も可能です。柔らかくにじませたいときや、鮮やかな色を活かしたいときに適しています。
アルッシュよりも水の吸い込みが強く、一度乾くと修正が難しくなります。ただ、下の色が動かないため、何度も重ね塗りができるのが特徴です。生徒さんの中には、この紙をとても上手に使いこなしている方がいます。まるで紙と対話するように、丁寧に水彩を重ね、落ち着いたマットな質感の作品を仕上げています。その姿を見て、「紙に優しく向き合うことが大切なのだなぁ」と改めて感じました。
ややシンプルな紙質ですが、水の吸い込みが浅く、乾いた後でも修正がしやすいのが特徴です。花のモチーフなど、あまり色を重ねずに軽やかに仕上げたいときに向いています。
ホワイトワトソンに似ていますが、やや水の吸い込みが強めです。修正も可能で、好んで使う生徒さんもいます。
これまで、さまざまな水彩紙を試してきましたが、今はこの4種類に落ち着いています。
紙の保存について
紙は「風邪を引く」とよく言われます。長期間保管すると紙質が変化し、描きにくくなることも。たくさん買い込むのではなく、1年分くらいを目安にストックするのが良いかもしれません。(実は私も紙を買うのが好きで、何年も前の水彩紙が手元にあります。「早く使わなきゃ」と、いつも少し焦ってしまいますが……。)
紙との付き合い方一つで、水彩画の表現は大きく変わります。皆さんもぜひ、ご自身に合った紙を見つけて、水彩の魅力を楽しんでくださいね。
田嶋香里