模写のすゝめ〈後編〉線と向き合う時間を日常に

2025.12.05
模写のすゝめ〈後編〉線と向き合う時間を日常に

この記事は、前編〈運筆を体に覚えるために〉の続きです。まだの方は前編からご覧ください。

練習の進め方

  1. まず良く観察する
    どこから描き始め、どこで止まっているかをじっくり見ます。
    筆のスピードや力の流れを想像することが第一歩です。
  2. 透かして写す
    薄紙を重ね、線の一本一本を丁寧に追います。
    長いストロークは手首ではなく、肘や肩で大きく動かすと安定します。
  3. 自分の線で再現してみる
    模写が終わったら、元の絵を見ずにもう一度描いてみます。
    体がどれだけ筆のリズムを覚えているかが分かります。

続けるコツ

1日15分でもいいので、無理なく続けるのがいちばんです。
「今日はうさぎ1匹だけ」とか、部分練習でも効果はしっかりあります。
線の手応えが変わってくると、描く時間そのものが心地よくなっていきます。

模写は観察力と集中力を高める練習でもあります。
一本の線に心を込める時間は、まるで瞑想のよう。
描くことを通して、心のざわつきが静まっていく瞬間を感じられるかもしれません。

線が絵に与える影響

洋画は基本的に面で描く事を意識しますが、線の鍛錬は面の筆使いや細部の描写にも必ず良い影響を与えてくれます。
心の入った生きた線は絵画そのものにも命を吹き込むでしょう。

参考にする下絵について

図書館などで巻物のコピーや、WEBより解像度の高い画像プリントしてお手本にしましょう。
※鳥獣戯画自体は著作権切れですが、商用利用の際は所蔵元(高山寺)の許諾が必要です。
学習目的であれば問題ありません。他のお手本の場合は版権元のルールに従いましょう。

画家 櫻井ナン

画家 櫻井ナン

横浜生まれ。都内在住。
武蔵野美術大学造形学部油絵学科(通信課程/奨学金奨励生)卒業。同大学卒業制作優秀作品に選出。
専門学校桑沢デザイン研究所グラフィックデザイン研究科卒業。
桑沢デザイン研究所研究科在学中から演劇実験室天井桟敷で舞台美術及び美粧アシスタント・宣伝美術担当。
主幹寺山修司氏死去で劇団解散後、グラフィックデザインを主にフリーランスに。

近年の活動

クラゲジルシN-plusサイトにて日本初の絵文字フォント制作、販売及びフィギュア制作
守山乳業デザート・ドリンク等パッケージデザイン
ジャストプランニングwebページ・商品ロゴデザイン
NECパソコンのいろは(PCソフト)チュートリアル キャラクターデザイン
PUZZLING Ghost Treat (iPhone/android)パズルアプリ キャラクター・GUIデザイン
ダイハツ子供向け販促物、自動車ぬりえ等
Panasonic北京五輪 展示パネル各種目イメージイラスト
オノグラフィックス(知育カードゲーム)「のりものえあわせカード」著作

近年の画歴

テンペラ(混合)画で第90回・91回・92回春陽展に入選。
テラコッタ彫刻で第78回・79回新制作展入選。
テラコッタレリーフでサムホール大賞展入選。
六本木画廊企画展「幻想動物園」・「SCULPTORS×POWERS」彫刻出品