今回のブログでは、私がアートの世界に入るきっかけとなった「ソフトパステル」についてお話ししたいと思います。
思い返せば、今から30年ほど前。最初に出会ったソフトパステルは「ゴンドラ」のものでした。その柔らかな質感と色の美しさに惹かれ、「ソフトパステルで絵を描きたい」と思ったのが、この世界に入る始まりでした。
ソフトパステルの勉強を始めた頃、何枚も模写したのがルドンの花の作品です。
ルドンといえば、目がひとつだけ描かれた少しグロテスクな作品が印象的ですが、私はどちらかというとそういった作風は少し苦手です。
でも、ルドンの描く花はとても居心地がよく、ソフトパステルの特徴をよく活かしているなあと感じました。
特に、黄色や朱色、黒を背景にして、赤・紫・青などの花が咲いている作品を描いたときは、ワクワクしながらとても楽しく描いたのを覚えています。
「ソフトパステル」という名前の通り、やはり柔らかく、やさしい雰囲気を醸し出すことが大切だと思っています。
色を重ねてしっかり塗り込んでいくのですが、見る人にふんわりとした印象を与える表現ができるところに、私はこの画材の魅力を感じています。
ソフトパステルはさまざまなメーカーから出ています。
私が初めて使ったのは「ゴンドラ」でしたが、その後「レンブラント」に出会ってからは、主にそちらを使っています。レンブラントは持ちやすく、発色も鮮やかで、水彩の上に重ねるときにもとても使いやすいです。
最近は、絵を体験しに来られる方には「ホルベイン」のソフトパステルを使ってもらうことが多いです。ホルベインは特に柔らかく感じられるので、初めての方にも好評で、「癒される」という声もよく聞きます。
細かい部分を描くときには、ペンシルタイプのソフトパステルも使います。私は「ダーウェント」や「スタピイロ」を使うことが多いです。ソフトパステルよりも少し硬めな印象がありますが、目などの繊細な部分を描くのに向いています。
また、「パンパステル」という画材も使っています。これはスポンジを使って色をのせていくタイプで、メイクのアイシャドウやファンデーションを塗るような感覚です。私は背景を均一に塗りたいときによく使っています。
ソフトパステルは粉状の顔料を少しだけ固めた画材なので、仕上げには「フィキサチフ」という定着スプレーが必要です。少し手間ではありますが、この「粉を画面上で遊ばせる」楽しさは、他の画材にはない魅力です。
ソフトパステル、まだ触れたことがない方も、ぜひ一度試してみてくださいね。
田嶋香里