1本の線からはじまる物語

2025.06.25
1本の線からはじまる物語

線を引くということ

線を引くことについてお話ししますしょう。そもそも線とは何なんでしょうか?絵を描くときに必ず発生する線。直線と曲線この2種類の線でいろんなものが表現できます。そういうふうに考えると描くと言う事はすごく簡単なように思えてきます。

私はもともとデザイン系のお仕事からこの世界に入りました。私の若い頃は表1つ書くのでも全て手書きの線で表現します。ロットペンのようなもので0.0 3 とか0.1とか0.5 などペン先の太さを利用して、いろいろなものを表現しました。

線との出会いと気づき

そもそも物には線がなく、平面の紙にモチーフを表現するとはモチーフには存在しない線で表現すると言うことなんだなぁと言うふうに気がついた時があります。そうすると線を引くことがとても楽しくなり、ぐるぐるとか点々とかギザギザとか、いろんな線を引くことで、自分の心の内面の表現をできることがとても楽しいかったことを覚えています。

木を描くということ

木を描くにしても、夏の木、冬の木、針葉樹、イラストのようなシンプルな木。線だけで描くことを楽しんだことがあります。

夏の木はわさわさの曲線とギザギザとした直線で描きます。光の強さの表現は下のほうをハッチングと言う線の技法で陰影をつけて立体感を出したりしながら、青々と茂っている木の表現を線だけでどういう風に表現しようかと言う挑戦をしていました。小さな三角をたくさん葉っぱに見立てて描いたりハッチングの方向性をあっち向き、こっち向きにしてみたりしながら夏の木を表現しました。

冬の木は、寒さの中で凛と立つ表現をどうするか。冬も落ちることのない葉っぱの全体像を角角と直線で表現し、小さな点々で周りを描き(雪の雰囲気)影の部分は色々な種類のハッチングで描き全体としては白いまま残し寒さを表現します。

線だけで色が見える

線の密度をたくさんにすると、濃くなったり、白い犬の毛を描くときに、毛と毛の間の影の線を所々入れることで、白い犬なんだなぁってわかったり線だけの表現でも色まで見えることを感じたときに絵を描いていきたい、絵を描くことがこんなにも楽しいことだと言うことをたくさんの人に伝えたいと思った瞬間でした。

線はすべてのはじまり

線を引くのは鉛筆だけではなく、色鉛筆やボールペン、水彩絵の具、ソフトパステル、墨など、どんな画材を使っても自分が手で動かしたところに線が生まれる。なんだか当たり前のようで、実はすごいことだなぁと言うふうに私は思うのです。まるで人生のように感じます。

ぜひ皆さんも目の前にある何か筆記道具で線を引いてみてください。1本の線から何かが生まれるのではないかと思います。絵も文字も線が組合わさって形になり、人に伝えられるものに生まれ変わります。そういうことに私はやっぱり感動してしまうのです。

画家 田嶋香里

画家 田嶋香里

現在は京都府宇治市にて制作、講師活動を行う。
京都造形芸術大学卒業、絵画造形教室講師30年以上、保母資格取得、幼児教育講師の経験後、幼少絵画教室を開室現在は幼少からお年寄り、美大受験生、障害のある子供達と幅広く指導、幼稚園講師研修会の講演
制作者としての活動は個展、グループ展多数開催

近年の活動

2018年
寺山修司画集 「時をめぐる幻想」(出版社:東京出版)「猫時計」の挿絵を行う
2019年
大丸梅田にて絵画展示販売
京阪百貨店にて展示発表
よみうりカルチャー講師
NHK文化センター講師
2020年
大丸梅田にて絵画展示販売
近鉄文化サロン講師(あべのハルカス・ならファミリー)
三越星ヶ丘店にて絵画展示販売
名古屋三越栄本店にて絵画展示販売
静岡伊勢丹にて絵画展示販売
北海道丸井今井札幌本店にて絵画展示販売
東京立川伊勢丹にて絵画展示販売
2021年
自身のアトリエ店舗をOPEN
2022年
KADOKAWA「オーバーロードⅣ」公認アーティストとしてメイキング動画、作品制作

近年の画歴

関西二紀 佳作賞,春季二紀展 新人選抜奨励賞,京展入選(3回),京都二紀 奨励賞(2回受賞),関西二紀 奨励賞(2回受賞),関西二紀 褒賞(2回受賞),関西二紀 関西二紀賞,二紀展 奨励賞,現創美術協会 奨励賞