線を引くことについてお話ししますしょう。そもそも線とは何なんでしょうか?絵を描くときに必ず発生する線。直線と曲線この2種類の線でいろんなものが表現できます。そういうふうに考えると描くと言う事はすごく簡単なように思えてきます。
私はもともとデザイン系のお仕事からこの世界に入りました。私の若い頃は表1つ書くのでも全て手書きの線で表現します。ロットペンのようなもので0.0 3 とか0.1とか0.5 などペン先の太さを利用して、いろいろなものを表現しました。
そもそも物には線がなく、平面の紙にモチーフを表現するとはモチーフには存在しない線で表現すると言うことなんだなぁと言うふうに気がついた時があります。そうすると線を引くことがとても楽しくなり、ぐるぐるとか点々とかギザギザとか、いろんな線を引くことで、自分の心の内面の表現をできることがとても楽しいかったことを覚えています。
木を描くにしても、夏の木、冬の木、針葉樹、イラストのようなシンプルな木。線だけで描くことを楽しんだことがあります。
夏の木はわさわさの曲線とギザギザとした直線で描きます。光の強さの表現は下のほうをハッチングと言う線の技法で陰影をつけて立体感を出したりしながら、青々と茂っている木の表現を線だけでどういう風に表現しようかと言う挑戦をしていました。小さな三角をたくさん葉っぱに見立てて描いたりハッチングの方向性をあっち向き、こっち向きにしてみたりしながら夏の木を表現しました。
冬の木は、寒さの中で凛と立つ表現をどうするか。冬も落ちることのない葉っぱの全体像を角角と直線で表現し、小さな点々で周りを描き(雪の雰囲気)影の部分は色々な種類のハッチングで描き全体としては白いまま残し寒さを表現します。
線の密度をたくさんにすると、濃くなったり、白い犬の毛を描くときに、毛と毛の間の影の線を所々入れることで、白い犬なんだなぁってわかったり線だけの表現でも色まで見えることを感じたときに絵を描いていきたい、絵を描くことがこんなにも楽しいことだと言うことをたくさんの人に伝えたいと思った瞬間でした。
線を引くのは鉛筆だけではなく、色鉛筆やボールペン、水彩絵の具、ソフトパステル、墨など、どんな画材を使っても自分が手で動かしたところに線が生まれる。なんだか当たり前のようで、実はすごいことだなぁと言うふうに私は思うのです。まるで人生のように感じます。
ぜひ皆さんも目の前にある何か筆記道具で線を引いてみてください。1本の線から何かが生まれるのではないかと思います。絵も文字も線が組合わさって形になり、人に伝えられるものに生まれ変わります。そういうことに私はやっぱり感動してしまうのです。